「どんぶり勘定」からの脱却。商品1個あたりの精緻な原価算出による適正価格への改定

 飲食業 / 原価管理・収益改善

【Before】課題

 近年、材料費の高止まりや最低賃金の引き上げに伴う人件費増、光熱費の高騰により利益が大きく圧迫されていました。しかし、自社で作成していたExcelの原価管理表では、材料の消費量を「理論値」で計算していたため実使用量と乖離が生じていたうえに、計算の単位が「kg」と「個数」で混在しており、正確な実態が把握できていませんでした。さらに、使用枚数を管理していなかったため包装資材費が原価計算から完全に漏れているなど「どんぶり勘定」の要素が多く、長年「感覚的な値付け」に留まっていました。ご子息への事業承継も見据える中で、従業員へ適切な給与を支払い、経営者自身も休暇を取れる健全な収益体制の構築が急務でしたが、コスト増に対して「どの程度の値上げが妥当か」が判断できず、価格改定に踏み切れないという大きな課題を抱えていました。

【アプローチ】解決策

 実使用量に基づく材料費、人件費、光熱費などを細かく分解し、商品1個あたりの原価を精緻に算出・可視化しました。

【After】成果

 月初と月末の在庫差分から実際の材料使用量を割り出すなど、数値を精緻化した結果、過去と比較して「商品1個あたり約2.8円の材料費上昇」が明確になりました。ここに人件費や光熱費、新たにレジデータから抽出した包装資材費等を含めることで、「1商品あたり約50円の価格改定が必要である」という客観的な根拠を導き出しました。 この明確なデータにより、経営陣が感覚的に抱いていた値上げに対する迷いや不安が払拭され、取引先や消費者に対しても説得力を持って説明できる適正価格への見直しが実現しました。また、日々のデータを分析する中で、生産数に対する販売率(歩留まり)が非常に高い水準にあるという自社の現場オペレーションの強みも数値で裏付けられました。並行してPOPを活用した商品の価値訴求を行うことで単価向上も図られ、後継者へのバトンタッチに向けた持続可能な経営基盤が整いました。