病院予約からメルカリまで:「面倒くさい」を避けるデジタル戦略

こんにちは
静岡県御殿場市で経営コンサルタントをしている 中小企業診断士の千葉です。

今回は子育て中に気づいた、「人の本質」についてです。

この「人の本質」は、ビジネスで顧客獲得において、非常に重要です。
この「人の本質」を考慮せずに、新サービスの開始や新しい集客のシステムを構築しても成果に繋がりません。是非、最後まで御覧ください。

うちの息子ですが、もうすぐ5歳になり、会話も通じるようになってきました。以前に比べると子育ての苦労は減ってきました。しかし。まだまだ大変なことも多いです。具体的には、食事でめんどくさいことがあると全然食べなくなります。別に、食事に殻つきのカニを出したり、手羽先を骨ついたまま出したりといったわけではありません。

少し野菜が大きい。とか
納豆の糸が引くのが嫌。とか

そんな些細なことでまったく食べなくなります。こういった話は周りでも結構聞いたこともあるので、おそらく子育てあるあるなのでしょう。

(食事って命に関わるし、食欲は本能的なことなので、多少面倒でもお腹が空けば嫌でも食べるだろう)

と思っていたのですが、全然食べなくなります。

このエピソードから気づいたことがあります。

「面倒くさいから〇〇しない」
「面倒くさいからやめる」

これって、ただの怠け者な人の性質や性格ではなく
「人の本質」なんだなと思いました。


実は多くの人が同じ様な経験をしたことあると思います。
たとえば、

  • 買い物が面倒くさいから、家にあるもので夕飯を済ませる。
  • 掃除が面倒くさいから、つい後回しにしてしまう。

こういった人の心理はビジネスを考える上でも非常に重要です。
人の「面倒くさい」と思う心理を上手く汲み取らないと

あなたのサービスや商品が購入されなくなる恐れがあります。
あなたのサービス、またはそれを購入するための導線づくりの過程で
「面倒くさい」仕組みがないか、いま一度見直していただきたいです。

たとえば
コロナ禍以降にウェブ上で事前問診と予約ができる病院が増えました。
病院によってウェブ問診の内容やサイトの仕組みなど結構違い、使いやすさも全然違います。

ある病院では、最低限のことしかウェブ問診に記入しません。そのため、20秒もあれば問診と予約が完了し、非常に使いやすいと思いました。

しかし、別の病院では、名前・電話番号・持病の有無など、初回に記入すればよさそうな情報も、その都度記入させられて、ウェブ問診に毎回10分くらい時間を取られる所もあります。

そうなると予約するのも面倒くさくなり、自然とその病院へは足が遠のいてしまいます。せっかくお金を掛けてデジタル化したのに顧客が減っては本末転倒ですね。

このウェブ問診のような、

顧客(ユーザー)と商品・サービスをつなぐ接点をUI(ユーザーインターフェース)といいます。
顧客が面倒くさいと思わないようなUIにすることが非常に重要です。

逆にユーザー目線に特化して使いやすいUIで大成功した会社があります。
それはメルカリです。

メルカリは個人が簡単にモノの売り買いが楽しめるフリマアプリで2013年からサービスを開始して現在ではユーザー数2200万人も利用しています。

このメルカリが約10年でここまで成長できた理由として、顧客が「面倒くさい」と思う作業を徹底的に省略しています。特に出品者側では顕著に使いやすさを感じます。

メルカリのような個人間の取引サイトは、実は目新しいものではなく、ヤフーオークション(通称:ヤフオク)など昔からありました。昔、ヤフオクなどを利用したことがある方は知っているかもしれませんが、ネットオークションの出品作業や落札作業ってかなり面倒くさいです。

「売りたいものがあるけど、使ってみたら作業が多くてネットオークションは止めた」という人も私の周りでも少なくありませんでした。

しかし、過去のネットオークションと違いメルカリが大きく成長した理由として、「面倒くさい」を大幅に省略したことが、要因の一つだと思います。

では具体的にメルカリはどのような使いやすさがあるのか

①他人の出品物をコピペできる。
②梱包代行、梱包方法マニュアル化
③コンビニと提携し梱包資材の入手が楽になった。
④発送作業と購入者への連絡の簡易化

「①他人の出品物をコピペできる。」についてです。
自分が要らないもの売ろうと思ったとき、まず出品作業が非常に面倒くさいです。
そこで止めてしまう方も多いと思います。
しかし、メルカリでは似たようなものを売っている人の出品物を1タップでコピペして、自分の出品ページを作ることが出来ます。
あとは写真を取って、一部文章を修正すれば出品作業が完了します。
(たとえばコップを出品する場合、他人の出品した同じコップの出品ページを、1タップでコピペしてそのまま流用できます。)

「②梱包代行、梱包方法マニュアル化。」についてです。
やはりいちばん面倒くさい作業が梱包です。一部の大きいテレビなどは、梱包をメルカリで代行業者に頼むことも可能です。また、本などの小物についてはメルカリ公式のブログやyoutubeで動画にして梱包の仕方を公開しています。

「③コンビニと提携し梱包資材の入手が楽になった」についてです。
梱包資材もコンビニで簡単に購入できるようになりました。ネットオークションで売れたら数日以内に発送しなければいけないことも多いと思います。それにも関わらず、平日の仕事帰りにホームセンターに寄って段ボール買うの大変ですよね?ましてや都会であれば近くにホームセンターがあることも少ないです。
しかし、今ではコンビニで簡単に購入が可能になりました。

最後に④発送作業と購入者への連絡の簡易化についてです。
コンビニで店員さんにスマホのバーコードを見せるだけで発送作業が完了します。また、送料の支払いも出品物の売上から差し引かれるため、コンビニでお金を支払う必要がありません。さらに購入者への発送連絡や追跡番号もタップのみで完了します。

昔ヤフオクで発送作業をしていたときは、追跡番号を手で入力して非常に面倒だったことを覚えています。それすら必要ないのです。

このような「面倒くさい」を極限まで排除することで、

一昔前では一部の人しか行わなかった個人間のネットオークション取引を、ここまで多くの人が利用できるプラットフォームに成長させました。

メルカリの例は、大手企業だから出来るという面は大いにあるのでしょう。

しかし、あなたの会社のUIやサービス提供の過程をほんの少し見直すことで、大きく集客に繋げるチャンスが作れます。

その為には、あなたの自社のUIやサービス提供の過程が面倒臭くないか、今一度確認してみることをおすすめします。

確認の仕方については

①自分で体験してみる。
②家族や友人に体験してもらい正直な感想をもらう。

こういったことで顧客の気持ちがわかり、UI改善に繋がります。

また、これからネット通販などのECサイトを作成する方は、
自分が使いやすいと思った他社の例を参考にして、ベンダー企業(発注相手)に伝えてみるといいでしょう。

是非、あなたの会社でも「面倒くさい」が改善できないか探してみてください。

この話があなたの経営改善のヒントになれば幸いです。経営に関するお悩みがあれば、

是非こちらへ → 千羽コンサルティングに相談してみる