研修生を武器に!売上増加と教育の一石二鳥戦略
こんにちは。
静岡県御殿場市で経営コンサルタントを務める中小企業診断士の千葉達也です。
本日は人手不足や社内教育に苦労している事業者向けに活用できる、革新的な手法について解説いたします。とくに小売や飲食店、サービス業などでは効果を発揮しやすいです。
また、取り入れている事業者もまだ少ないため、物珍しさによるマーケティング的な効果も期待できます。
その方法とは「研修生価格」の導入です。
「研修生価格」とは、自社の新人や見習いが提供するサービスや商品を低価格で顧客に提供する手法です。
どういうことか簡単に説明すると、
ラーメン屋を想像してください。新人の作るラーメンは、作業に慣れていないので
提供に時間が掛かってしまい、麺が少しのびていたり、スープが温かったりすると思います。
この品質のラーメンをあえて「研修生価格」という形で売り出します。
この制度は、少し低品質のサービスを安く購入出来る顧客側だけでなく、企業側にも大きなメリットがあります。
具体的には、以下の3点です。
①研修生に実践を積ませることが出来る。
②研修生も売上を上げる事ができ、自社の戦力となる。
③研修生のモチベーションが向上する。
まずは①の説明です。
本来、研修生や新人は、まだ能力が低く現場で活躍することが出来ません。そのため企業は一日でも早く新人も戦力になってほしいと思い社内教育を行っていると思います。
しかし、新人を早く戦力とさせるに、現場で実践を積ませることが一番手っ取り早いのです。そこで、この制度を用いて研修生に多くの実践を経験させることで早く一人前にさせることが出来ます。また、顧客も納得の上でサービスを受けているためクレームになることも多くありません。
②については、まだ一人前になっていない新人は、教育段階であるため、売上を上げることが出きず戦力になるまで本来赤字です。
ただ、この制度を取り入れることで、多少利益率は下がるものの、新人が売上を上げてくれることが可能になります。
最後の③ですが
実践経験をつませることで、従業員のモチベーションが高くなります。
ビズヒッツが調査した「仕事のモチベーションが上がるときはどういう瞬間なのか。」によると、1位は「評価・感謝されたとき」になります。
出典:https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2305/29/news036.html
調査結果からもわかるように、上司からの評価やお客様からの感謝を受けることで従業員はモチベーションが向上するため、実践の場で顧客からのリアルな評価を受けることで従業員のモチベーションが上がる傾向にあります。
心理学者のハーズバーグも、自説の「二要因理論」にて、
「不満の解消は、給与や人間関係であるが、働く意欲の向上は評価や達成感である」
と説いています。
ここまで聞くと、低品質のものを提供することで
「お客さんの不満にならないのか」
「自社のブランドが低下するのではないか」
と思う方もいるのかもしれません。
確かにその通りで、自社にとってマイナスになる可能性もゼロではございません。
ここで、マイナスにならないための注意点が2つあります。
1つは「研修生がサービスを提供しており、サービスの品質が落ちることがある」と正直に説明することが重要です。顧客側が納得していることで成り立つ制度であるため、事前にしっかりとした説明や周知が重要になります。
よくスーパーで「研修生が対応していますのでお時間かかり申し訳ありません」と書かれた
レジがあるのを目にすると思います。これも同じ手法で、正直に顧客に説明することでクレームや顧客満足度の低下を防止します。
2つ目は、本来のサービス提供も選択できる状況にすることです。もちろん中には、研修生のサービスではなく、品質の高い本来のサービスを提供してほしい顧客も多いため、選択出来るような状況にしていくことが重要です。
この研修生価格ですが、実際に採用している企業は下記の通りです。
都内のMEGAドン・キホーテの精肉コーナーでは、研修生がカットする肉は、肉のカットにばらつきがあるため「研修生価格」として安価で販売しております。
また、都内の「江戸前寿司**GINZA SUSHI BANYA KAI」では中トロは通常2200円のところ、研修生価格として660円で提供しています。
都内のネイルサロン店「ナイスネイルスクール生サロン 池袋店」でも同様の「研修生価格」を取り入れており、本来4000円のネイルサービスを半額以下の1500円で提供しています。
現在、人手不足で多くの企業が困っているかと思いますが、このような手法を用いることで
人手不足解消や社内教育のレベル向上などに繋がることが可能です。
是非、あなたの会社でも「研修生価格」が活用できないか探してみてください。
この話があなたの経営改善のヒントになれば幸いです。経営に関するお悩みがあれば、
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