なぜこのダンス教室はいつも賑わうのか?成功へ導くマーケティングの裏側
こんにちは 千葉達也です。
大層なタイトルを付けてしまいましたが、先日かなり感心したこと出来事があったので
記載したいと思います。
突然ですが、保育園に通う我が家の長男は踊ることが非常に大好き。
EテレやSnowManのダンス番組を録画しては、何度も繰り返し観て楽しそうに踊っています。
そろそろ習い事をさせたかったので、妻と相談して彼の好きな踊りが思う存分できる、ダンス教室に通わせようと決まりました。ちょうど、私の友人の奥さんがダンス教室を運営しているので詳細について話を聞いてみました。
そこでは、体験レッスンが1回無料、見学は何度でも無料であり、他のダンス教室と比較しても月謝が非常にリーズナブルでした。
これを聞いたとき、体験レッスンが1回無料というのはよくある話ですが、
「見学何度でも無料」については、かなり気前の良いサービスだなと思いました。
そして驚くほど低価格。(通常のダンス教室の半額くらい)
(料金見直したほうが良いんじゃないだろうか…)
非常に失礼ですが勝手ながら思いました。
なにせ、こちらのダンス教室は地元で名声があり、様々な地域イベントに積極的に参加しています。
ブランド力・知名度を考慮すると全然価格が釣りあっていないのです。
しかし、実際に息子を連れて行ってみると、その理由がよく考えられていることに気づきました。
初めてのダンスの体験教室では、見事に息子は人見知りを発揮し、元気な子供たちの間でダンスに参加することを渋りました。しかも、見学の途中で「家に帰りたい」という呟く始末。
(これは通わせるの無理だなぁ…)と思いながらも、帰り道に彼の感想を聞くと、
「楽しかった。次はちゃんと踊る。また行きたい」想定外の回答でした。
ここで、「見学が何度でも無料」という方針の背景に深く納得しました。
大人以上に子供たちは新しいコミュニティに溶け込むまで時間がかかるため、1度の見学や体験で入会する人は恐らく多くないのでしょう。「見学何度でも無料」のサービスは潜在的な顧客をつかむためには秀逸な戦略なのです。
また、私が想像していたレッスンは、一昔前の部活のような厳しい練習イメージでしたが
実際のレッスンはどちらかというとサークルのように自由で楽しいレッスンで、子供たちは休憩も自由に取りながらダンスを楽しんでいました。
マーケティングの観点から見ると、エーベルの3次元枠モデルを思い出します。
エーベルの3次元モデルを簡単に説明すると、事業の方針を考える時に「誰に(ターゲット)」「何を(顧客ニーズ)」「どのように(技術)」を定義することです。
ここでは、顧客ターゲットを
「部活のようにガンガン練習をしてダンスの大会で活躍させたい親」 ではなく
「子供に楽しくダンスをさせてストレス発散や運動不足解消をさせたい親」 にしています。
どちらが需要が多いかはどう考えても後者ですもんね。
その為、非常にリーズナブルな料金設定にして、地元の子供たちを幅広く対象にすることで、多くの顧客ニーズを獲得して人気を博しているのです。
このように特定のターゲットに対してどのような価値を提供し、それをどのように届けるかが重要になります。
このダンス教室の戦略は、多くの経営者や個人事業主にとって参考になる例だと思います。
もし、自分がコンサルしたと仮定して、現場の実態を知らずに、「料金を上げましょう」などと提案したら
何もわかっていないと失望されていただろうなと、多くの発見と自分を顧みる機会があった出来事でした。