マネジメントシステムの落とし穴:ISO9001認証維持の現実と対策

こんにちは、千葉達也です。

本日よりHPでコラムをしていきたいと思います。ぶっちゃけてしまえばブログのようなものです。
もし皆さんの企業経営の助けになるヒントや私の人柄がわかる機会になればと思い定期的に思ったことを綴っていきます。

では、以下本日のタイトルの内容です。

皆さんは、ISO9001認証について耳にしたことがありますか?特に製造業や建設業の関係者の方々にとっては馴染み深い言葉かもしれません。この国際規格である品質マネジメントシステム(QMS)について、その概要や背景について改めてお話ししようと思います。

ISO9001とは?

ISO9001は、「顧客満足の向上」を目的とするマネジメントシステムです。これは、製品やサービスの提供に至るまでのルールやプロセスを定めたものであり、認証取得はもちろん、その維持にも定期的な審査が必要です。しかし これが、多くの企業にとって大きな負担になっています。

認証取得企業数の低下

興味深いことに、ISO9001の取得企業数は年々低下しています。2007年の43,023件から、2020年には30,371件へと減少しており、その背後には費用負担や審査準備の工数などが理由として挙げられます。特に建設業界では、入札の条件が緩和されたことも影響しているかもしれません。

現場からの声

私自身、過去に勤めていた会社でISO9001の維持管理に携わった経験がありますが、そのプロセスは非常に大変でした。審査前の準備やマニュアルに沿った運用確認、資料の修正作業など、膨大な労力が必要でした。しかし、比較的準備や運用が楽だった会社もあります。

その差は自社で作成したルールやマニュアルの解釈の自由度にありました。

ルール作りのコツ

品質マニュアルは比較的抽象的な要求が多いので、自社ルールに落とし込むときに具体的過ぎるルールや複雑なルールしてしまうケースが多いです。

例えば、 

マニュアル書に記載する文字のフォントやサイズまで制限してしまう。

不必要にマニュアル書同士の関連付けをしてしまう。
(Aの改訂があった場合、Bの改訂も必要になる。大体関連付けした方は忘れて改定されない。)

極端な例もありますが、雁字搦めにすればするほど、維持・運用が困難になります。要は、「自分たちで作ったルールをちゃんと守れているか」という点が審査の核心です。自分たちで自分たちの首を絞めないようにある程度自由さや抽象的表現をいれて、現実的に運用できるルール作りを意識した方が良いと思われます。

テコ入れの動き

ISO認証取得企業数の減少に対し、ISO認証機関もルールの緩和推奨や審査時の柔軟な指摘を行うなど、テコ入れを始めています。苦労している企業は、ルール作りの見直しや審査機関の変更も検討する価値があると思います。